世のちり洗う○○温泉
トラベルズ―がメンバーを対象に行った調査によると、緊急事態宣言後、トラベルズーメンバーが国内で1年以内に訪れたい旅先1位は「近場の温泉(片道2時間程度)」。近場から徐々に観光を再開する「マイクロツーリズム」の動きが注目され始めていることから、わたしも早速“近場温泉”を探してみました。
■四万の病を癒す、四万温泉
参考にしたのは、トラベルズー編集部・Yuiによる「週末旅に便利な“都心2時間”、実際どこまで行ける?」。都心からは離れるものの、自宅から2時間圏内の範囲を見てみると、意外にも複数の選択肢があることを発見。温泉大国・群馬の温泉地のいくつかも、足を延ばせる距離にあることが分かりました。
そこで注目したのは、四万の病に効き、上毛かるたでは「世のちり洗う四万温泉」の句で著名な四万温泉。四万温泉の魅力を一言にギュッと凝縮した名句であり、声に出すと清々しさを感じるほど(ぜひ、実際に読んでみてください!)。車でも電車でもアクセスしやすく、なにやらお湯も良さそうな温泉地となれば…、うーん、とっても気になります…!
四万温泉の名は、四万の湯が「四万(よんまん)の病を癒す霊泉」であるとする伝説に由来しているとか。起源についてはさらに2つの説があり、1つは征夷大将軍・坂上田村麻呂が入浴した事から誕生した、というもの。もう1つは、源頼光の家臣だった日向守碓氷貞光が童子(神)から神託を受けたことが始まり、というものです。この神託に由来し、四万温泉内の施設ではしばしば「御夢想の湯」と名付けた湯舟が見られます。
飲めば胃腸に良く、入浴すれば肌に良いとされ、「日本三大胃腸病の湯」のひとつに数えられています。公共の飲泉所や独自の飲泉所を設けたホテル・旅館もあり、温泉好きにはマストGOの温泉地と言えるでしょう。昭和29年には、酸ヶ湯温泉(青森県)、日光湯元温泉(栃木県)とともに「国民保養温泉地」の第一号に指定されています。
■温泉旅館&自然散策で心身リフレッシュ
温泉ファンだけでなく、老若男女に愛される四万温泉。ほんの一部にはなりますが、個性豊かな旅館と、ネットやSNSで話題のスポットを調べてみました。
- 『温泉三昧の宿 四万たむら』:室町時代創業。7つの源泉を持ち、1つの宿内に大浴場、露天風呂、貸切風呂、檜風呂、さらには川沿いの混浴露天風呂など、多彩な湯がズラリ。まさに“温泉三昧”を冠するにふさわしく、宿泊予約サイトの温泉クチコミ評価は平均4.7以上(5/27時点)を獲得しています。
- 『積善館』:元禄7年創業の老舗宿。湯治棟の本館は現存する日本最古の木造湯宿建築と伝えられ、「まるで別世界に来たみたい」「“千と千尋”の湯屋のよう」などのクチコミが多数寄せられています。NHKドラマ「昭和元禄落語心中」や吉永小百合さん主演の映画「天国の駅」など、数々の作品のロケ地にもなりました。
- 『四万温泉 柏屋旅館』:昭和レトロ漂う館内は、どこを切り取っても絵になること間違いなし。全客室が四万川に面しており、テラス付きシングル客室はひとり旅にもぴったり。朝食は、和食・洋食・温泉街の柏屋カフェでのブランチから選択できるのもポイントです。
- 『地酒の宿 中村屋』:商店街にある酒屋が営む宿。主人手作りの露天風呂でお酒を愉しめる「酒出し風呂」が名物で、ネットやSNSでは「お酒が天から降りてくる」という、なんとも気になるクチコミが…。この露天風呂、過去にはテレビ番組「旅の香り」で氷川きよしさんにも紹介されたとか。
- 『時わすれの宿 佳元』:温泉街より奥まった、閑静なエリアに佇む全8室の料理旅館。SNSによる情報発信も積極的ですが、わたしのオススメは「女将ブログ」。宿の最新情報や草花情報で彩られており、読むだけで元気を貰えます。ロビーの囲炉裏ラウンジは、館内のフォトスポットと言えそうです。
- 『四万温泉 ひなたみ館』:旅行クチコミサイト・トリップアドバイザーにて、四万温泉を含む中之条町のホテル旅館53軒中1位の宿。無料の貸切風呂を3つ備え、客室は半露天風呂付き客室やメゾネットタイプなど、A~Fまで表情豊かな6タイプ。渓流沿い客室もあり。
- 落合通り:「情緒がありすぎる」「懐かしい!」などのコメントが投稿されている、四万温泉のメインストリート。「スマートボール」の看板や喫茶店、タバコ店など、ノスタルジックな風景が残っていることから、写真映えする散策スポットとして人気を集めています。
- 奥四万湖:四万温泉の一番奥に位置するダム湖。神秘的な“四万ブルー”の湖と、湖を囲む広葉樹林は四季折々の装いを見せ、初夏は新緑、秋は紅葉と、訪れる度に異なる“顔”に出会えます。群馬デスティネーションキャンペーンにあわせ、吉永小百合さんが出演するJR東日本「大人の休日倶楽部」のテレビCMのロケ地にもなりました。
■“世のちり”洗いに四万温泉へ
「2019年度 温泉総選挙」の「女子旅部門」では、見事1位に輝いた四万温泉。“世のちり”とは一体何か、考えれば考えるほど深い句を胸に、足を運びたい気持ちが高まってきました。
余談ですが、紹介した「上毛かるた」はアプリも公開されています。1人でもできる工夫がされているので、群馬旅行の“予習復習”に活用してみてはいかがでしょうか。
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Aki Sato:
ジャンクフード・競馬・落語・講談を愛する旅行業界出身の元ニュース編集者。温泉旅へ行く理由は「ザ・旅館飯」。
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