旅行は“試着”する時代 リモートトリップで隠岐に行ってきました
自宅にいながら非日常が味わえるバーチャルツアーやVR旅行、泊まった気になれるオンライン宿泊…。旅心をくすぐるニュータイプな旅行商品が続々登場するなか、ほぼ毎週バーチャルツアーに参加しているほど“バーチャルツアー好き”なわたしが「ネクストブレイク間違いなし」と目をつけたもの、それは島ファクトリーとJALが仕掛けるリモートトリップ。移動時間ゼロなのに、地元グルメも旅気分も味わえる、そんな一挙両得のツアーとは一体…?
■デジタル+リアル体験=これからの旅行スタイル
注目したのは、JALが2020年7月1日に発表した「おうちでTry on Trips」。旅との新しい出会い方・選び方を提案する「Try on trips」の取り組みから誕生した、「デジタルコンテンツ」と「リアルな体験」をパッケージ化したリモートトリップ商品です。
第一弾は、JAL羽田~隠岐デジタルフライトで行く、隠岐・海士町(あまちょう)の潮風リモートトリップ。自宅に現地の特産品やJAL提供のアイテムなどが詰まった体験BOXが届いたのち、当日は無料のビデオ会議システム「Zoom」を使ってJALのデジタルフライトと海士町でのリモートトリップに参加する、という流れ。
これまで数多くのリモートトリップを企画・実行してきた島ファクトリーとJALによるコラボレーションとのことから、自然と期待は鰻登り。早速、わたしも7/18発のフライトを予約し、海士町産の海の幸が届くのを待ちました。
■実際に参加してみました!
ドキドキしながら商品の到着を待つこと約10日間、ついに我が家にも体験用BOXが届きました。はやる気持ちをおさえ、発泡スチロールのフタを開けると…、おおっ…!磯の香りが…!小さなころに離島で磯遊びをした記憶が呼び覚まされ、嗅覚は島旅モードに突入。フタに蒸気穴の開いた缶の中に、色鮮やかな「ひおうぎ貝」2個と、さざえ4個、特別同梱品のもずく500gが入っていました(「梅コース」の場合)。
空色が印象的な「旅のしおり」とフライトチケット、JALオリジナルドリンク「スカイタイム」と鶴丸印の紙コップも一緒に届き、旅行気分はぐんぐん上昇していきます。「旅のしおり」によると、当日は参加者みんなで「かんかん焼き」を作るのだとか。う~ん、これは当日が楽しみだ!
(1)臨場感バツグンの「JALデジタルフライト」
フライト当日は、「旅のしおり」で指定された集合時間にあわせ画面の前でスタンバイ。どんな人と一緒なのかな?この「ひおうぎ貝」はどうやって焼くんだろう…。まるでリアルな旅に出るようなワクワク感を胸に、いよいよ出発です。
羽田~隠岐間のフライトは通常片道約1時間半かかるところ、今回のデジタルフライトでは20~30分にギュッと濃縮して運航。模擬飛行装置を使って特別に撮影されたシミュレーション映像には、参加者から「臨場感たっぷり」とのコメントが。画面の前で愛犬と一緒に参加されている方もおり、「ワンちゃんと参加できるのが良い」とも評判になりました。JAL客室乗務員によるドリンクのサービスとクイズもあり、夢中になっているうちに隠岐に到着しました。
(2)五感で味わう「リモートトリップ」
空港到着後は、隠岐汽船のフェリーに乗って海士町へ移動。島に到着し、「かんかん焼き」の作り方指南を受けたあとは、後鳥羽天皇隠岐をご祭神とする隠岐神社やある特技を持つ女将さんのいる『民宿 但馬屋』など、海士町観光へ繰り出します。お迎えのカヤックに乗ったり、やどかりを取っている島の子どもたちと会ったりと、自宅にいながらリアルタイムで現地の空気感を味わえるのはリモートトリップならではのメリットです。
さてさて、肝心の「かんかん焼き」ですが…、わたしでも上手に蒸し焼きにすることができました!海士町産のさざえは、7月に漁が解禁されたばかりというだけあり、今が旬。岩場で育っているため砂が入っておらず、肝までおいしいという解説そのままの旨さです。なお、“南のホタテ”こと「ひおうぎ貝」は採れてから1、2日が鮮度の寿命と短く、市場にはなかなか出回ることがない貴重な貝だとか。産地直送だからこそ味わえる、贅沢な逸品です。
リモートトリップの最後は、『民宿 但馬屋』女将による「きんにゃもにゃ踊り」の披露があり、参加者全員で大盛り上がり。手拍子をしながら参加する人もおり、「いつかわたしも但馬屋で女将と一緒に踊れたら…」との思いが胸に押し寄せました。
これまで数々のバーチャルツアーに参加してきたなか、目で見て・耳で聞くだけでなく、さざえの触感と旬の味を知り、貝が焼ける匂いや磯の香りまで味わうという、五感をフル稼働させたバーチャルツアーは今回が初めて。お腹も満たされ、大満足で“帰路”に着いたのでした。
まったく知らない場所を訪れ、思いもしなかった体験や人と巡り合うことは旅の醍醐味。その一方、自宅にいながらにして見どころやグルメ、さらには人まで深く知ることができ、旅に出る前に現地との絆を得ることができるのはリモートトリップならでは良さ。オフラインでの体験や人と人の繋がりがより一層の希少性を持つとされる「withコロナ」「アフターコロナ」の今は、旅する前にリモートトリップで現地の風や味を“試着”する時代が来ているのかもしれません。
わたし自身、臨場感あふれる旅に心振るわせ、次はぜひ海士町へ行こうという意思を強くしたのでした。次はどんな旅が待っているのか、今から第2弾の開催を待ち望むばかりです。
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Aki Sato:
ジャンクフード・競馬・落語・講談を愛する旅行業界出身の元ニュース編集者。温泉旅へ行く理由は「ザ・旅館飯」。
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