シュワシュワの日帰り温泉で“藤森建築”のファンになりました<2023年夏オープン宿情報もキャッチ>

大分県 長湯温泉にある「ラムネ温泉館」外観(トラベルズー編集部撮影) ※新規オープン宿の画像ではありません
大分県 長湯温泉にある「ラムネ温泉館」外観(トラベルズー編集部撮影) ※新規オープン宿の画像ではありません
2022/11/06

大分にある長湯温泉を訪れた際、ひときわ目を引く温泉施設を見つけました。その名は「ラムネ温泉館」。まるで絵本のなかから飛び出してきたような佇まいには思わず足を止め、一眼レフのシャッターを切ったほど。調べてみると、館を手掛けたのは建築家・建築史家の藤森照信氏でした。同氏の建築は“藤森建築”と呼ばれファンがおり、次はなんと宿泊施設が誕生する予定との情報をキャッチ。一体どんな施設なのか、早速チェックしました。


■有名温泉街で“藤森建築”に出会いました

岐阜の湯屋温泉を訪れて以来、炭酸泉のファンであるわたし。現地で日帰り入浴をしていたところ、全国の温泉を旅歩いているという方とお話しする機会に恵まれ「同じ炭酸泉なら、一度大分にある長湯に行くといいわよ」と教えていただきました。

それから時が経つこと約12年、ついに長湯温泉へ足を運ぶチャンスが到来。レンタカーを使って向かう大分・福岡旅行を計画した際、長湯温泉に立ち寄れることに気づきました。…これは、行くしかない。特に館を決めず、温泉地に着いてからどの日帰り温泉を試そうか探そうと思い歩いていたところ、まるでおとぎ話に出てきそうな外観の建物を発見しました。

その名は「ラムネ温泉館」。ラムネ飲料のようにシュワシュワと銀色の泡に包まれる、日本ではそう多くない炭酸泉をひく日帰り温泉です。

建築を手掛けたのは、東京大学名誉教授であり、自然との調和を意識した独創的な建物設計を行うことで知られる建築家・建築史家の藤森照信氏。焼き杉と銅板を用いたデザインが印象的で、「ラムネ温泉館」の内湯には茶室の建築でもお馴染みの藤森氏の意匠がたっぷり取り入れられています。脱衣所から湯殿に入る際、腰をかがめ戸をくぐるように入るのですが、これはまさに茶室の「にじり口」そのもの。変わったデザインだな~…と思いながら炭酸泉に浸かっていたのですが、“藤森建築”とわかった時には膝を打ちました(事前リサーチが足りない!反省!)。泉質もさることながら、独特の佇まいからこの館のファンになりました。

(左)「ラムネ温泉館」外観。ロゴやキャラクターデザインは任天堂「MOTHER」シリーズが好きなトラベルズーメンバーならご存じであろう南伸坊氏(右上)飲泉所。飲んだ感想は「鉄のサイダー!」。岐阜の湯屋温泉『ニコニコ荘』でも味わった感覚(右下)敷地内には小さな住人が遊びに来ていました

大分の「ラムネ温泉館」のほか、藤森氏が手掛けた建築は滋賀の銘菓「たねやクラブハリエ」のフラッグシップ店であるラ コリーナ近江八幡」、長野・茅野にある「神長官守矢史料館」や茶室の「空飛ぶ泥舟」「高過庵(たかすぎあん)」「低過庵(ひくすぎあん)」、東京・国分寺にある「丘の上APT 兒嶋画廊」など多数。同じく国分寺なら、藤森氏の自邸である「タンポポ・ハウス」ももちろん「藤森建築」のひとつです。

■日本初!“泊まれる藤森建築”が2023年夏オープン

唯一無二のデザイン性を持ちながら自然に溶け込む佇まいにあたたかみを感じる「藤森建築」は旅好きの間でもファンが多く、建築見学を目的とした旅程を組むのもまた一興。そして今後はなんと、見学するだけでなく“泊まれる藤森建築”が誕生する予定だとか。新規開業ホテルファンやアート巡りファンには見逃せない情報になりそうです。

Motion Gallery 「藤森建築(仮)」プロジェクト画面 2022/11/1 19:07時点 (参照 https://motion-gallery.net/projects/fujimori_ryokan)

クラウドファンディングプラットフォーム「Motion Gallery」内で立ち上がったのが「皆んなで建てよう!藤森旅館(仮)! 建築家・藤森照信 設計の宿泊施設2023年夏オープン!」。藤森建築に惚れ込み世界各地を巡った経験を持つ発起人・山越典子氏によるプロジェクトで、長野・富士見町の小さな集落に1日1組限定の宿を開業するのが目標。藤森氏が宿泊施設のデザインを手掛けるのは日本初のことで、宿泊費と朝食代を料金に含むB&Bスタイルでの運営が検討されています。

支援金は「藤森旅館(仮)」に使われる銅板屋根やデザインの要所のひとつである桜を管理するための設備費に充てられ、支援金額によっては旅館の基になる焼杉作りのワークショップ参加券や宿泊体験などのリターンが提供される見込み。11/1 19:07時点のコレクター(支援者)は251人で、集まった金額は720万円。一次目標の500万円を達成したことから、現在は800万円を目標に賛同者を募っています。


「藤森旅館(仮)」のオープンは2023年夏を予定。プロジェクトページによると、宿泊施設の設計を藤森氏に依頼したのは2010年だったとか。そう考えると、今回のプロジェクトは12年越しの壮大な計画と言えます。新規ホテルの開業は建物ができあがるのを外から見ていることが多いなか、誕生に“協力できる”宿泊施設は珍しいこと。新規ホテル情報をリサーチ中のトラベルズーメンバーは、ぜひ一度プロジェクトページをチェックしてみてください。

都内にある“藤森建築”では、秋葉原駅から徒歩約4分の場所にある「e.本店」も藤森氏が設計・監修しているとか。都内に出た際に立ち寄り、“藤森建築”のあたたかさに触れてこようかな、と思います。

【関連リンク】
Motion Gallery
「皆んなで建てよう!藤森旅館(仮)! 建築家・藤森照信 設計の宿泊施設2023年夏オープン!」
https://motion-gallery.net/projects/fujimori_ryokan

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Aki Sato:
東北出身。旅行業界経験後、Webニュースの編集者を経てトラベルズー編集部へ。持ち前の食い意地を生かし「ひとり旅」と「ひとりランチ」に挑戦中…だったのですが、最近身体を壊し、ライフスタイルを根本から見直すことに(涙)。お気に入りの都内ブッフェは『浅草ビューホテル』の「スカイグリルブッフェ 武蔵」。好きなものは落語・講談。ここ数年は祖父母との共通言語である大相撲と浪曲も勉強中です。


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