新宿から70分、合掌造り集落の“隠れ里”でひとりコースランチ

2023/02/01

少し疲れたら、自宅から1時間半内にある近場の観光地やレストランで余暇を過ごしているわたし。昨年「八王子日本閣 レストラン フローラ」に足を運んだ様子をレポートしたところ、それを見た編集長からイチオシのランチ情報を入手。「編集長が推すなら…!」と事前情報なしに意気揚々と出かけたところ、想像以上の体験に出会えました。


■新宿駅から約70分、広大な敷地に佇む“隠れ座敷”

ここ3年ほど、自宅から1時間半以内にある観光地やレストランで「ひとり旅」していることを編集部に喧伝(?)しているわたし。旅のプロのおすすめなら間違いないだろうと、基本は編集部スタッフのアドバイスを中心に旅行を組み立てています。そんななか、編集長から「個人的には高尾の“うかい”がおすすめ」との情報をゲット。事前情報は「東京タワーの下の“うかい”も有名ですが、高尾の環境もとても素敵で、イワナ、豆腐、蕎麦に山葵と、高尾ならではの地のものが味わえる」ということだけ。さて、どんな食事に出会えるのだろう…?

ここは一体…!? 合掌造り集落、点在する離れ…せせらぎが心地よい小川に掛かる橋を渡り、食事処へ

新宿駅から京王線に乗り高尾山口駅まで約60分。駅から無料の送迎バスに揺られること約10分、小橋を渡り林を抜けた先に突如現れたのが今回の訪問先である「いろり炭火焼料理『うかい鳥山』」。約6,000坪あるという広大な敷地内には富山の五箇山から移築したという合掌造りの建物や日本家屋が点在し、高尾の山里と古き良き日本の原風景が“融合”する様子は圧巻の一言。それだけに、送迎バスを降りた瞬間、「しまった、これはひとりで来ていい場所なのか!?」という一抹の不安がよぎりました。

■「いろり炭火焼 鶏串コース」を独り占め

水車の回るエントランスを抜け、受付で名前を告げて向かったのは庭園に面した茅葺屋根の屋敷。敷地内には川が流れ、池には鯉が泳ぎ、焼き場から煙が立ち昇る景色は極めて日本的でありながら、せわしない日々を送る現代人にとっては非日常感たっぷり。

1名で予約したところ、窓側に面し庭を望む4人掛けテーブルが用意されておりなんとも贅沢な気分に

早速席に着き、飲み物は売店で見かけた柚子みつを使ったソフトドリンク(880円 税込・サ別)に決定。1品目の鶏スープ、ウズラのつくねを添えた聖護院だいこんの田舎煮、北海道産の希少な「月光百合根」の白味噌仕立てはどれも上品な味付けながら味わい深く、持ち上げた箸が止まりませんでした。

(左)鶏スープ。寒い日だったので体が温まりました(中)ウズラのつくねとセリが添えられた田舎煮(名前こそ田舎だけど味付けはアーバンで洗練されています)(右)ふきのとうが雪から芽を出しているような百合根の白味噌仕立て

今回選んだコースは「いろり炭火焼 鶏串コース(7,700円 税込・サ別)」で、4品目は「佐久鯉の洗い」か「川魚の塩焼き」から選択可能。編集長が川魚を推薦していたにもかかわらず、わたしが気分で選んだのは「佐久鯉の洗い」。焼き場で見かけたヤマメを賞味できなかったのは心残りですが、この鯉の洗い、絶品です。千曲川の清流を泳いでいた鯉を取り寄せ、地下水を張った生け簀に泳がせ泥抜きをしたというだけあり臭みは全くなく、引き締まった身は弾力たっぷり。

御殿場の契約農場で育まれたブランド鶏のもも、手羽中に加え、しいたけがパチパチと目の前で焼きあがる炭火焼きは目にも楽しく、ひとりであることを良いことに人目も憚らず串を手に持ちかぶり付き。原木しいたけは鶏に負けないほど肉厚で、食べ応えがありました。

(左)身が引き締まり濃くて歯ごたえのある「佐久鯉の洗い」は次回も選択したい一皿(中)鶏串コースのメインである炭火焼3種(右)このためだけに再訪したい焼き黒密とうふ

鶏串コースのメインである炭火焼きに負けない存在感を放っていたのは、甘味として最後に提供されたクリーミーな「焼き黒蜜とうふ」。感動は深く、「家でも食べたいのですがお取り寄せはできますか」と聞いたほど(答えは、残念ながらコース限定の提供のため取り寄せ不可)。コース全体の美味しさは言わずもがな、「焼き黒蜜とうふ」のためだけに再訪したいと思える逸品でした。

■1名利用可能、アレルギー相談や食事の変更も柔軟に

Webサイト内の予約ページからは2名以上でないと予約できませんが、電話なら1名でも予約可能。これはひとり旅派のわたしには嬉しいポイントでした。また、アレルギー対応にも柔軟に対応してもらえるのは安心。今回選んだコースには「麦とろご飯」が含まれており、山芋にアレルギーがあることを申告したところ、追加料金なしで鶏そぼろのわっぱめしに変更できました。追加料金で、鮭いくらご飯にも変更可能です。

(左)「麦とろご飯」からアレルギーのため「鶏そぼろのわっぱめし」に変更。刻み生姜の香りが豊か(右)ノンアルコール派にも安心、魅力的なソフトドリンクも多数ラインアップ

他のテーブルの様子を拝見すると、夫婦や女子旅、着物姿のグループや10名以上の親子三代利用など、グループスタイルは多様。わたしが利用した座敷席の屋敷ではなく、2名以上なら個室タイプの離れも予約できるようです。

瀟洒な雰囲気に圧倒され、ひとりでは場違いではないかと挙動不審な入店となったものの、集落を後にする際には「行って良かった」との満足感でいっぱいに。ひとりでも特別な気持ちに浸れ、祝いの席や両家の顔合わせ、都会を離れたリフレッシュなど、大切な人との日帰り旅行先にもぴったりな“隠れ里”だと思います。

京王高尾山口駅前発の無料送迎バスがあるため、マイカーがない場合でも大丈夫。近県のナンバーも多く見受けられました

次は、これまた編集長がポロッと発言していた「六本木にあるジビエの名店」をリサーチ中。判明次第、行ってきます。続報をお楽しみに!


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Aki Sato:
持ち前の食い意地を活かし「ひとり旅」と「ひとりランチ」に挑戦中。旅以外で好きなものは落語・講談。ここ数年は祖父母との共通言語である大相撲と浪曲も勉強中です。好きな力士は昭和最後の大横綱・千代の富士。


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