大谷選手の故郷が盛り上がっているって…?東北出身者が選ぶ岩手で行くべきスポット10選
先日行われたWBCでの活躍は言わずもがな、世界的な注目を集めるスーパースター・大谷翔平選手。「メジャー120年の歴史を変えた男」とも称される“生ける伝説”を生んだ岩手県がいま、多くの観光客で賑わっているそうです。そこで、同じ東北出身の私が岩手に行くならおさえておきたい観光名所10選を作成しました。岩泉町出身の友人に聞いた“通”のオススメグルメ情報もあるので、お見逃しなく。
(1)岩手銀行赤レンガ館[盛岡]
ニューヨーク・タイムズ(NYT)が発表した「2023年に行くべき52か所(52 Places to Go in 2023)」にて、1位のロンドンに次ぐ2位に選出されたのが岩手・盛岡。東京方面から盛岡駅へ新幹線で向かう際、左手に見えてくる山は岩手山と言い、遠足や家族旅行の際にあの山が見えてくると「岩手に来たなぁ」と思ったものです。NYTが和洋折衷の建築物や川、盛岡城跡公園のある街並みを評価しているように、盛岡を訪れるなら「岩手銀行赤レンガ館」の訪問は欠かせません。辰野金吾・葛西萬司建築事務所の設計で建てられ、1911年(明治44年)に盛岡銀行の本店行舎として落成されました。公式Webサイトによると「辰野金吾が設計した建築としては東北地方に唯一残る作品」のため、建築好きでなくとも一度は足を運んでみたいところ。石割桜が有名な盛岡地方裁判所はここから徒歩約10分なので、来年以降の春にはぜひレトロ建築と桜のコラボレーションも愉しんでみては。
(2)めん処 はすの屋[盛岡]
岩手といえば「じゃじゃ麺」や「冷麺」、「わんこそば」なのですが、ここ最近特にネット上で話題なのが「盛岡ラーメン」。「めん処 はすの屋」はお笑い芸人・ナイツの塙氏がYouTubeで紹介したことで全国的な話題になりましたが、地元からすると以前から名の知れた名店なのだとか。盛岡駅、上盛岡駅のどちらからでも向かえますが、盛岡駅から徒歩の場合は約30分、上盛岡駅からの場合は約20分かかります。お品書きは黒麺、支那麺、肉麺、冷たい支那麺とシンプルな4種で、クチコミで人気なのは黒麺と肉麺。黒麺は1日の提供数に制限があるようなので、要注意です。
(2)高館義経堂[平泉]
平泉といえばまず、世界遺産「平泉の世界遺産」の構成資産である中尊寺や毛越寺、金鶏山などの名が真っ先にあがるはずですが、個人的に推薦したいのが高館義経堂。源義経公最期の地と言われる場所で、現在は毛越寺の飛び地境内となっています。眼下には北上川が静かに流れており、川の向こうには秀峯・束稲山を望みます。俳聖・松尾芭蕉はこの地に散った義経公を思い「夏草や 兵共が 夢の跡」の句を詠んだとされ、“芭蕉気分”に浸れるかも。私が訪れた際は春にもかかわらず夏日のように暑く風のない日でしたが、この場に立った際は不思議と周辺の音が消え、涼やかな風が頬を撫で過ぎ去っていきました。平泉駅から出ている巡回バス「るんるん」の停車場所でもあるので、車がなくてもアクセスが容易。歴史好きに推薦します。
(3)上あめや[岩水]
岩泉町出身の友人が推薦するのがこちら。「ホルモン鍋」はかつて炭鉱で栄えた岩泉町ならではのソウルフードで、醤油味のスープと地元食材をふんだんに盛り込んでいる点が特徴。「上あめや」のホルモン鍋は同店オリジナルのタレで合えた「臭みのないホルモン鍋」で、にんにくが効いた知る人ぞ知るホルモン鍋の名店のひとつだとか。岩泉は本州で最も面積の広い町であり、日本三大鍾乳洞のひとつに数えられる龍泉洞を擁する地でもあります。龍泉洞から「上あめや」は車で約10分程度で、テイクアウトのみ。店内での飲食を希望する場合は、龍泉洞内にある「龍泉洞レストハウス」で提供があるので(1日数量限定)、観光の際にぜひ舌鼓を打ってみては。
(4)遠野ふるさと村[遠野]
同じ東北出身のShihokoさんと「岩手といったら?」を話し合った際、候補のひとつとして挙がったのが遠野。柳田国男が遠野地方に伝わる逸話や伝承などを記した「遠野物語」から「遠野」の名前は知っていても、「遠野」が岩手のどこにあるか分からない、というトラベルズーメンバーも多いのでは。この「遠野ふるさと村」は馬と人が共に暮らした南部曲り家を移築・保存し、昭和初期の農村をイメージし整備した観光名所で、遠野の暮らしに迫るのにぴったり。レストランやショップ、木工館や陶芸館などもあるので、家族のレジャー先候補にできます。
(5)宮沢賢治記念館[花巻]
賢治の愛用品、原稿など賢治ゆかりの物の展示のほか、ビデオやスライド、図書資料などから賢治の世界にアプローチできる「宮沢賢治記念館」。そばには「宮沢賢治イーハトーブ館」や「宮沢賢治童話村」もあります。賢治がテーマの花巻市内観光には欠かせない施設のひとつで、子供だけでなく大人もゆっくり過ごせるのがポイント。同じ花巻市内には賢治が「イギリス海岸」と名付けた北上川西岸や、童話「猫の事務所」のモデルといわれる旧稗貫郡役所を復元した展示館「早池峰と賢治の展示館」など、名所が点在。賢治作品は夏休みの自由課題図書にも向いていることから、この夏は家族で賢治の世界を学ぶ旅に出るのも一案です。
(6)小岩井農場まきば園[雫石・滝沢]
4/15からグリーンシーズンがスタート。「日本の鉄道の父」とされる井上勝氏が1888年にこの地に立ったことをきっかけに、現在は遊ぶ・食べる・買うの揃う一大観光農場として親しまれるようになりました。岩手および宮城に住む家族なら一度は足を運んだことがある確率が高く、旅行会社の岩手ツアーに組み込まれることもある名観光スポットです。盛岡駅から車で約30~40分程度で到着でき、親子三代での旅行先にも適しています。
(7)浄土ヶ浜[宮古]
三陸復興国立公園・三陸ジオパークの中心に位置し、本州最東端の町・宮古を代表する景勝地である浄土ヶ浜。透明度が高く、穏やかな波が特徴で、2023年の海開きは7/22~8/20の予定です。鋭くとがった白い流紋岩が林立する様子は海水浴が目当てでなくとも一度目にしておきたい光景で、この地を訪れた霊鏡竜湖和尚が「さながら極楽浄土のごとし」と称した理由も納得。近隣には大浴場を備える『浄土ヶ浜パークホテル』があります。
(8)ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート[八幡平]
2021年12月にリブランド開業した『ANAクラウンプラザリゾート安比高原』『ANAホリデイ・インリゾート安比高原』に続き、「インターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツ」のブランドを冠し2022年3月に東北で初めて開業。開業同年には「旅行業界のアカデミー賞」とも称される「2022 WORLD LUXURY HOTEL AWARDS」を受賞しており、国内だけでなく海外から注目を集めています。近年は安比高原をインターナショナルリゾートへと進化させようとする取り組みが進んでおり、同年8月には英国名門校「ハロウスクール」に則った英国式全寮制インターナショナルスクール「ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(ハロウ安比校)」も開校しました。東北出身者にしてみると「安比と言えばスキー」という印象でしたが、今後は世界的な高原リゾートとなることが予想されます。足を運ぶなら、話題のホテルステイを実現したいですね。
(9)歴史公園えさし藤原の郷[奥州]
平泉文化を築いた奥州藤原氏の歴史と文化が体感できる歴史テーマパーク。5名以上の場合は秀衡公や義経が食しただろう「平安時代の食事」を再現した「平安時代食」を予約でき、体の内側から時代を体感できるのはこの施設ならでは。映画やNHK大河ドラマのロケ地にひっぱりだこで、映像作品への出演率から“みちのくのハリウッド”との異名もとるほど。6月中旬から7月中旬にはホタル観賞会、7月下旬から8月中旬には夏祭りなど、年間イベントの開催も予定されており、行く度に違った顔に出会えること請け合いです。大河ドラマ好きや撮影好きにおすすめ。個人的には過去に2回ほど、親戚一同とともに訪れています。
(10)そば処 東屋[盛岡]
あっという間に9つの候補紹介が終了。そろそろわんこそばについても触れないと…、と焦りましたが、やはりここは「東家」が“鉄板”でしょうか。盛岡市内に3店舗あり、トラベルズー編集部スタッフも訪れた著名店です。挑戦したKeisukeさんは2回のチャレンジのいずれも100杯以上を記録しており、見事記念手形もゲットできたそうです。わんこそば、というと物凄いスピードで早食いをしなければいけないのかと思い勝ちですが、公式サイトによると「本来、急いで食べなければならないルールはないです」。これなら初心者も安心。薬味も種々用意されているので、楽しく・美味しく郷土食に舌鼓を打ってみたいですね。
このほかには一関の猊鼻渓も候補ですが、舟下りが目的でない場合は同じ一関にある厳美渓が候補に挙がります。厳美渓の渓流をはさんだ対岸にある郭公屋は「郭公だんご」で人気なので、現地を訪れた際に要チェックを。冷麺とじゃじゃ麺については語るべきポイントがたくさんあり、主流から亜流まで多種多彩なため今回は割愛しました。グルメ仲間のトラベルズーメンバーにはがっかりする記事になっていたら申し訳ないのですが…、めくるめく岩手・麺の世界は今後の紹介課題とさせていただければ幸いです。
ちなみに、岩泉町出身の友人曰く「岩手県民は焼肉感覚でジンギスカンを食べる」。ジンギスカンを食べるなら遠野が候補地で、「ジンギスカンのあんべ」や「まるまん じんぎす館」、「遠野食肉センター」が有名です。
そうそう、岩手はとにかく広大なので、新幹線沿線以外のエリアを訪れる際は車の手配が無難。運転に不安がある場合は、観光を含む添乗員同行ツアーを予約するのが便利です。
追伸:「大谷君効果で岩手が盛り上がっているそうだよ!」と、件の岩泉町出身の友人にLINEを送ったところ、「岩手を観光したところで大谷選手を感じることはできないぞ」と指摘がありました。そんなご無体な!…と思うのが半分、そりゃそうだよな、というのが半分。行ったら予想以上に楽しく美しい、それが、私が岩手に抱く印象です。
Aki Sato:
東北出身。旅行業界経験後、Webニュースの編集者を経てトラベルズー編集部へ。持ち前の食い意地を生かし「ひとり旅」と「ひとりランチ」に挑戦中…だったのですが、最近身体を壊し、ライフスタイルを根本から見直すことに(涙)。お気に入りの都内ブッフェは『浅草ビューホテル』の「スカイグリルブッフェ 武蔵」。好きなものは落語・講談。ここ数年は祖父母との共通言語である大相撲と浪曲も勉強中です。
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