「ちょい旅」定着なるか?気になる旅行スタイルを調査

2023/10/16

ワーケーション、ブレジャー、グランピング、ステイケーション、星野リゾートが提唱する“近所旅行”ことマイクロツーリズム、サウナを目的とする「サ旅」など、ここ近年で数多くの旅行スタイルが注目を集めました。

そして、物価高騰の今、脚光を浴びているのは「ちょい旅」だとか。交通費や旅費を抑え、気軽にすぐ行ける近場でのレジャーやグルメを楽しむ旅行スタイルです。調べてみると、「ちょい旅」のバリエーションは多種多様。専用のWebページを設け、「ちょい旅」を推奨している旅行会社や旅行メディアも見られました。


■「ちょい旅」の大前提

「ちょい旅」を最近取り上げたのはSBS 静岡放送。「TBS NEWS DIG」2023/10/14のニュースとして、宿場町として知られる静岡市駿河区丸子での「ちょい旅」を紹介しました。

「ちょい旅」に類似する旅行スタイルには、感染症拡大時期に星野リゾートが掲げた、自宅から1〜2時間で行ける範囲の旅行を指す「マイクロツーリズム」があります。遠方や海外への旅行に対し、3密(密閉・密集・密接)を避けながら近場で過ごす旅のスタイルで、新しい社会様式を模索しながら非日常感を味わい、地元の魅力に触れようとする動きが全国各地で見られました。

マイクロツーリズムを感染症拡大下において広がったものとするなら、現在「ちょい旅」が注目される理由には、物価高やガソリン代の高騰により、交通費や旅費を抑えて近場で旅行気分を味わえる旅行スタイルが求められている…、という経済的な背景があるかもしれません。そう考えると、「ちょい旅」の大前提は「旅費を抑えて」「お得に」「非日常を味わう」ことの3点と言えます。

--名づけ親は?

「ちょい旅」自体の旅行キーワードは、様々な旅行事業者が掲げています。発祥はどこか調べてみると、福島県いわき市にある「風に誘われてとらべる」が見つかりました。同社によると、「ちょい旅」とは、「日中の時間を利用して近場を散策するプチ旅」のこと。同社が「名付けた旅」と紹介されており、市内やその近郊の散策、「ちょっとだけ贅沢なランチ」などで心と体をリフレッシュすることが提案されています。


■例えばこんな「ちょい旅」

「ちょい旅」を叶えるには、気が向いたときに出かけるだけでOK。大変な準備や計画は必要なく、気軽に地元の名所を訪ねてみては。身を委ねるだけで、車窓観光や名所探訪、グルメが叶う日帰りバスツアーへの参加も良いですし、憧れていたホテルのランチへ出かけてみるのも良いでしょう。全国旅行支援が延長となり、貸切バスを利用したツアーをお得に予約できる場合もあるので、延長された全国旅行支援情報も要チェックです。

トラベルズー編集部は今回、「ちょい旅」に該当するだろう旅行スタイルや、旅行情報を集めてみました。地元の名所で、リフレッシュしてみませんか。

--ちょい旅提案(1)片道1,000円以内の場所へ出かけよう

電車で片道1,000円以内、という予算を設定してみると、意外に遠くまで足を延ばせることに気づきます。
例えば、東京発の場合、総武線快速を利用すれば千葉・佐倉駅まで片道約990円、約60分。東京~千葉間で成田エクスプレスを利用すると電車代が片道2,000円台まで上がるので、特急は利用せず、車窓の旅を楽しむこととします。佐倉駅についたら、無料送迎バスに乗り「DIC川村記念美術館」へ。庭園に癒されたら、美術館内の「ロスコ・ルーム」で“絵画に包み込まれる”体験に身を委ねてみては。
同じく東京駅からなら、これからの季節は高尾山を目指すのもあり。東京駅から高尾山口駅までは、丸ノ内線と京王線を利用した場合、片道約639円、約1時間22分。ちなみに、東京~高尾間で中央線、高尾~高尾山口間で京王高尾線を利用する場合は片道約1,085円となり、わずかに予算オーバー。予算を考慮すると、高尾山からは京王線を利用するのが費用を抑えるポイントです。トラベルズー編集部による、高尾でのひとりランチレポートもあるので、ご参考まで。

DIC川村記念美術館 庭園 イメージ

このほか、都内発の例を見ると、池袋から川越までは、東武東上線利用で片道約690円、約32分。食べ歩きや江戸情緒豊かな街並みを楽しみたいならおすすめです。ムーミンバレーパーク、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園などが目当てなら、飯能も選択肢の1つ。池袋から飯能までは、西武池袋線で片道約481円、約51分です。

トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園 観光イメージ

--ちょい旅提案(2)見学無料の施設を楽しんでみよう

無料なのに、展示内容や体験内容が充実している施設は「ちょい旅」の強い味方。トラベルズーメンバーの皆さんの住むまちにもあるかもしれません。
都内だと、警視庁 警視庁本部(平日のみ)、江戸川区自然動物園(完全入替入園制)、9/7~12/21は常設展の「明大コレクション」内で「古代の馬」を展示している明治大学博物館などが無料で入場・入園できます。定番ですが、東京都庁の南展望室も無料の絶景スポット(休室日あり、北展望室は当面休室中)。月~金曜なら、エレベーターを乗換え、第一本庁舎32階にある職員食堂でランチをするのもおすすめです。ボリューム満点なのに料金は控え目で、和洋中、日替わりと、ラインアップ豊富です。
市民なら無料で利用できる施設も要チェック。大阪市内の小中学生なら、天王寺動物園の入園料は無料なのは有名ですね。「地元名 無料 施設」で検索し、今まで知らなかった施設を探してみては。大阪市民にかかわらず、「交野いきものふれあいの里」は入園料が無料です。
企業が実施している工場見学も「ちょい旅」候補の1つになるでしょう。東京都内なら、「サントリー<天然水のビール工場>東京・武蔵野ブルワリー」や「コカ・コーラ ボトラーズジャパン多摩工場」、キユーピーの「マヨテラス」などがあります。サントリーの工場見学は、トラベルズー編集部スタッフも体験し、充実の時間を過ごしていました。ちなみに、「森永乳業 東京多摩工場」は現在工場見学を一時休止中。再開が待ち遠しいですね。

東京都庁 南展望室からの眺望 イメージ

--ちょい旅提案(3)旅のプロの力を借りよう

その土地を知るプロが集結しているのは、やはり観光案内所か地元密着型の旅行事業者。観光協会のWebサイトや、旅行情報サイトで名所を探すのも一興です。旅行事業者なら、地元発着の日帰りツアーやアクティビティを企画しているかも。一度、「地元名 旅行業者」で検索し、Webサイトを覗いてみるのがおすすめです。トラベルズー編集部では、 “地元ファースト”な旅行事業者や情報サイトを調べてみました(順不同)。日帰りで旅を楽しめる全国各地のイベント・エンタメ情報も公開しているので、あわせてご覧ください。

■トラベルプラザ(長野)
https://travel-plaza.jp/tour_cat/little_trip/
大町市を中心に、大北・安曇野地域で旅行業を展開し35年以上。松本平、安曇野、大北地区の地元発着のバスツアーを中心に、「ちょい旅」プランを複数紹介しています。行き先は金沢、伊勢神宮、上高地、なんと江ノ島など多数。1名11,800~18,800円(10/17時点)で、満席が出ている人気ツアーもあります。

■ホテルズドットコム(全国)
https://jp.hotels.com/go/japan/weekend-break-japan
「日本国内癒しの『ちょい旅』10選出」と名付けた特集ページを公開中。「遠くまで行かなくても、近場で十分リフレッシュできます」として、日本各地の旅先を紹介しています。

■浜松・浜名湖だいすきネット(静岡)
https://hamamatsu-daisuki.net/hamanako-choitabi/
「ちょい旅」にぴったりな、「浜松・浜名湖ちょい旅ガイド」を公開中。希望エリア、カテゴリー、開催時期で情報を絞り込めるので、使い勝手が良いのが特徴。無料で参加できる、うなぎパイファクトリーの工場見学や、静岡県唯一のモータースポーツ体験、浜名湖わんこクルーズ、パラセーリングなど、気軽に出かけたいときのヒントが満載です。

■ちょこたび埼玉(埼玉)
https://chocotabi-saitama.jp/
埼玉県物産観光協会が運営するWebサイト。観光スポット、モデルコース、飲食店、土産店、さらにはイベントやツアー情報など、埼玉を目的地とする旅行情報を多数掲載中。「おすすめイベント」では見頃を迎える花情報や見学会、特産品フェア情報など、最新の現地情報を入手できます。

■京成電鉄「京成沿線ちょい旅」(東京、千葉)
https://kokosora.jp/choitabi/index.html
遷移先は「京成沿線ちょい旅」のバックナンバー。現在も閲覧可能で、京成電鉄を利用した「ちょい旅」の提案が掲載されています。2014年夏号まで遡れるので、京成沿線で楽しめる季節のイベントを把握する際にも便利です。

■瀬戸内Finder「瀬戸内ちょい先旅」(兵庫、岡山ほか瀬戸内エリア)
https://setouchifinder.com/ja/2022tyoisaki/
せとうちDMOが運営する国内向け観光サイト内にある特設ページ。「足を延ばしてもう1泊」を掲げており、瀬戸内の魅力に触れることができる「ちょい先」を紹介しています。旅行と組み合わせた利用はもちろん、瀬戸内エリアに住むトラベルズーメンバーの「ちょい旅」のヒントにもなる可能性大。読み物コンテンツが豊富です。

■県北ちょい旅!(茨城)
https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kenpokusinkou/sinko/nyu-tu-rizumu/documents/230228_kenpoku_choitabi.pdf
※URLはPDFに遷移します
「癒やし」をテーマに、半日程度で楽しめる「ちょい旅」情報を閲覧できます。作成したのは、茨城県制作企画部 県北振興局と、大学生が中心のプロジェクトチームである「キャンパスラボ」。「海辺CHILL」「ほっこりレトロ」など、トレンディな旅行スタイルが提案されているのはこの企画ならではのポイントです。

■くるめのみりょく(福岡)
https://www.kurumepr.com/main/2354.html
久留米シティプロモーション実行委員会が厳選した「久留米ちょい旅」の魅力を紹介中。5つの動画が掲載されており、どれも1分から2分未満とコンパクトながら、久留米の魅力がぎゅっと詰め込まれています。


リサーチしてみると、「ちょい旅」は様々な旅行事業者や観光団体が掲げているキーワードであることが分かります。ワーケーション、グランピング、マイクロツーリズム、「サ旅」などに続く、新しい旅行用語として、そして、新しい旅行スタイルとして、私たちの生活に定着する日も遠くなさそうです。思い立ったが吉日、次のお休みは早速、「ちょい旅」に出かけてみませんか。

【関連リンク】トラベルズー編集部「日帰りで旅を楽しめる日本全国のイベント・エンタメ情報


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※情報は、発行前日の情報をもとにトラベルズー編集部が独自にリサーチしたものであり、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
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