2024年2月全館休業、それまでに『山の上ホテル』でできること…パーラー混雑状況他

2023/10/30

先日、東京都千代田区の老舗ホテル『山の上ホテル』が全館休業することが発表されました。川端康成や三島由紀夫など多くの文豪が利用したことで知られ、SNSでは白桃パフェやプリンアラモードなど、「コーヒーパーラーヒルトップ」の逸品が注目を集めていた“時代を超えて愛されるホテル”です。

休業日は2024/2/13から当面の間。休業に入る前までに楽しめることと、休業中にも『山の上ホテル』のエッセンスに触れることができる方法を調べました。


■宿泊は断念、休業日までほぼ満室

『山の上ホテル』の発表を受け、SNSには休業を惜しむ声が溢れました。その多くは、過去の宿泊や食事を思い返す投稿や、「休業までに一度は泊まりたい」というもの。私も同様の思いを抱き、報道を受けすぐに予約を試みましたが、時すでに遅し。宿泊予約サイト、公式サイトとも2024/2/11チェックインまで全日程満室となっていました。この記事を書いている10/31 17:00時点でも、公式サイトの「宿泊プラン一覧」を再度確認しましたが、引き続き予約できる日程はありません。客室を押さえられている方がうらやましい…!

館内にあった休業のお知らせ。本当に休業するんだ…と実感。再開は未定ですが、また会える日を楽しみに待ちたいですね

宿泊ができないと分かり考えたのは、山口瞳氏の著書「行きつけの店」で読んで以来気になっていた「てんぷらと和食 山の上」のランチ利用。しかしながら自分の都合の付く日程では1名用の空席がなく、泣く泣く断念。ならばと考えたのが、SNSで話題の「コーヒーパーラーヒルトップ」での食事です。

伝統のババロア(1,500円)やプリンアラモード(2,000円)、ホテルパティシエ自家製ケーキ(900円)などデザート類だけでなく、グルメ通にもファンが多いという小海老のロングマカロニグラタン(2,800円)、オムライス(2,600円)やハヤシライス(3,200円)など、食事メニューも充実しています。これはまさに、ランチにうってつけなのでは…!


「コーヒーパーラーヒルトップ」の混雑状況

意気揚々と『山の上ホテル』へ向かった私ですが、最終的に「コーヒーパーラーヒルトップ」の利用は諦めました(涙)。私が訪ねたのが報道後初の週末だったことも考えられますが、11:30開店のところ、11:00に店舗へ着いたときにはすでに58組の待機があり、入店可能となるのはおそらく3、4時間後だろう…ということが分かったためです。

受付の方に伺ったところ、9/1~11/30は「かぼちゃのプリンアラモード」の整理券が配布されており、整理券配布のタイミングで入店予約を受け付けているのだとか(事前予約不可、当日受付のみ)。「かぼちゃのプリンアラモード」整理券の配布時間は、平日は11:00から、土日祝は10:30から。いずれもなくなり次第配布終了です。ホテル自慢のプリンアラモード、しかも季節のかぼちゃとあれば、間違いなくおいしいんだろうなぁ…。

『コーヒーパーラー ヒルトップ』を道路側から見た際の外観。地下1階とはいえ、駿河台の丘の上に建つホテルなので、大きな窓からは日差しが差し込み気持ちよさそうです

店舗前には数席、待機用の椅子がありましたが、入店まで数時間空く場合は近隣の観光へ繰り出すのが良さそう。入店受付後、ホテルを出て外でランチを済ませ(空席状況によりますが、ホテル内の他のレストランを予約しておくのも良いですよね)、「コーヒーパーラヒルトップ」にはデザートのために入店する、という時間の使い方が考えられそうです。

ちなみに今回、私は1階にある「ホテルショップ ヒルトップ」でケーキをテイクアウトしました。コーヒーパーラーの店内利用は叶いませんでしたが、自宅で贅沢な気分に浸ることができ、これはこれで大満足です。期間限定のタルトやケーキのほか、テイクアウト用にアレンジされたコーヒーパーラーで人気の「タルトタタン」もありましたよ。

ロビーの一角で見つけた、書籍とライティングデスク。この書棚の左に「てんぷらと和食 山の上」の店舗入り口があります

■休業後も『山の上ホテル』のエッセンスに触れるなら…

『山の上ホテル』の発表によると、直営店である「てんぷら山の上Ginza」「てんぷら山の上Roppongi」「てんぷら山の上日本橋三越本店内」「レストランヒルトップ順天堂医院内」は、ホテル休業後も引き続き営業予定。ホテルでの宿泊や食事が叶わない場合は、ホテルの伝統とエッセンスに触れられる直営店を利用したいですね。

食事だけでなく、『山の上ホテル』にゆかりのある文豪の作品を読むのも一興です。『山の上ホテル』そのものを知るなら、発行当時、社長を務めていた森裕治氏による「山の上ホテルの流儀 多くの作家に愛されてきた魅力とは」。

多くの出版社が集まる神保町に近いため、川端康成、池波正太郎、松本清張ら文豪が原稿執筆の常宿に使われたことから、ホテルにゆかりのある作家の作品に触れてみるのも良いでしょう。ちなみに、前述の山口瞳作品で言えば、自伝的小説である「血族」とその続編である「家族」の仕上げは、畳の上にベッドがある401号室で行ったそうです(出典「行きつけの店」)。

最近の作品で見ると、柚木麻子氏の小説「私にふさわしいホテル」には、『山の上ホテル』に“自腹でカンヅメ”になった主人公が登場します。作品の世界に没頭し、ホテルでの滞在を想像している間にホテルが営業再開…!という、現実の“ストーリー”をこの目で見届けたいですね。

ライティングデスクに近寄ってみたところ。多くの来館者が写真を撮影していました

ホテルのシンボルとも言えるアールデコ様式の建物は、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の設計によるもの。建築ファンからも、「ぜひ残してほしい」「再開してほしい」との声が挙がっています。

旅好きとしても、休業前にできることを楽しみつつ、休業後は自分なりの楽しみ方で営業再開の朗報を待ちたいですね。


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※写真はイメージです(トラベルズー編集部撮影)。

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