エンニオ・モリコーネと旅する世界

2020/07/07

映画音楽のレジェンド、エンニオ・モリコーネが7/6に亡くなったというニュースを見て、大きな喪失感を覚えるとともに、彼が遺した音楽を再び聴きたくなり、Youtubeでモリコーネ作品に耳を傾けながらこの記事を書いています。

エンニオ・モリコーネという名前に覚えがなくても、『ニュー・シネマ・パラダイス』や『アンタッチャブル』など、彼が音楽を手掛けた映画を見たことがある人は多いはず。映画を選ぶ際に「好きな俳優」や「好きな映画監督」で選ぶ人も多いと思いますが、私が初めて「好きな作曲家」で映画を選んだほどに、モリコーネの音楽は深く人の心をつかむような魅力があります。

そこで今回は巨匠エンニオ・モリコーネへのリスペクトと追悼の意を込めつつ、彼が手掛けた映画の舞台を旅してみましょう。


『ニュー・シネマ・パラダイス』(イタリア・シチリア島)

1988年公開、ジュゼッペ・トルナトーレ監督が手掛けたイタリア映画で、エンニオ・モリコーネの名を世界中に広げた名作。イタリア・シチリア島を舞台に、映画好きの少年サルヴァトーレが親友の映画技師アルフレードと過ごした日々や、恋愛、失恋などを通して成長する姿を描いています。私は10回以上見ましたが、目を閉じればいつも「映画史に残る感動のラストシーン」と名高いあの場面が、モリコーネのどこか悲しげで美しく、それでいて強く優しい音楽とともに蘇ります。


『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(アメリカ・ニューヨーク)

1984年公開、セルジオ・レオーネ監督、主演ロバート・デ・二―ロのギャング映画でありレオーネの遺作。レオーネはエンニオ・モリコーネと小学校の同級生であったことから、『荒野の用心棒』『ウエスタン』など多くの映画をコンビで生み出しました。本作は禁酒法時代のニューヨークで、ギャングしか生きる術のなかった少年たちの生涯を描いた3時間49分の大作。私の個人的ベストで、圧巻のオーケストラは何度聞いても飽きません。


『ミッション』(パラグアイなど南米各地)

1986年公開、ローランド・ジョフィ監督。18世紀のスペイン植民地時代のパラグアイを舞台に、先住民のグアラニー族へのキリスト教布教活動を行うイエズス会の宣教師たちの生き方を描いた作品。主演はやはりロバート・デ・二―ロ。1980~90年代のデ・二―ロ映画が渋くて格好良くて好きです。ゴールデングローブ賞・作曲賞を受賞した音楽も必見です。


『海の上のピアニスト』(大西洋クルーズ)

1998年公開、『ニュー・シネマ・パラダイス』で一躍有名になったジュゼッペ・トルナトーレ監督の代表作のひとつ。豪華客船で生まれ、生涯を船上で過ごしたピアニスト「1900(ナインティーンハンドレッド)」の生き様を描いた映画。とくに1900が語った「船から降りない理由」が印象的で、ピアノだけで奏でられるどことなく悲しげなメロディーとともに心に響きます。


番外編:NHK大河ドラマ『武蔵』(日本各地)

2003年放送のNHK大河ドラマ。江戸時代初期の伝説的な剣術家・宮本武蔵の生涯を描いた物語で、市川海老蔵が主演。宮本武蔵の少年時代から、京都・吉岡家との死闘、巌流島での佐々木小次郎との決闘など、歴史に残る戦いが描かれています。エンニオ・モリコーネが手掛ける壮大なオープニングテーマが毎週の楽しみでした。


こうしてエンニオ・モリコーネの音楽を聴きながら、舞台となった旅先に想いを馳せていると、実は音楽と旅はとても似ていることに気づきます。どちらも人を勇気づけるエネルギーがありますし、音楽や旅のない人生は考えられません。残念ながら巨匠はこの世を去りましたが、彼の素晴らしい音楽は永遠に遺ると信じています。ぜひ皆さんもモリコーネ音楽に耳を傾けながら、次の旅先を想像してみてください。


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